全1355文字

東電、関電も相次ぎ参入

 大手電力の参入も相次ぐ。東京電力ホールディングスは11月初旬から、数億円をかけ千葉県銚子沖で調査を開始。関西電力は11月29日、三菱商事などが英国で手掛ける洋上風力計画に出資すると発表した。Jパワーも関電と、英国の別の洋上風力に出資。ノウハウを蓄積し、国内市場での活用を見込む。

 今後、国は指定海域での発電事業者を選定する。洋上風力は他の再生エネと同様、固定価格買い取り制度(FIT)の対象だが、1kW時当たり36円の現行価格は適用されず、入札になる。国民負担が年約3兆円に達するFITへの批判をかわすため、国は低い買い取り価格を提示した事業者を優遇する方針だ。

 だが、法整備を当て込んで事業化を進めていたある風力事業者は「価格だけで決めずに、これまでの交渉状況も勘案してほしい」と話す。既に漁業組合などとの調整を始めており「突然事業者が変われば地域が混乱する」(同)。

 入札制も事業者にとっては不安材料だ。地域によっては洋上風力を既存の電力系統につなぐため、大手電力から送電線増強の費用負担を求められる。洋上風力の事業者になるのを前提に送電線に投資しても、選定に落ちれば発電設備を造れないため、送電線の費用だけを負担する、という事態も起きかねない。沖合での洋上風力の建設は日本では例がなく、コストの見積もりは複雑なものとなる。

 国会の審議では、「供給価格が最も重要な要素」とする一方「事業内容など総合的に評価する」とした。FITの趣旨は再生エネを大規模に普及させ、長期的にコストを下げること。洋上風力を普及させるために、まずは納得感のある詳細なルールが必要だ。

(庄司 容子)

日経ビジネス2018年12月10日号 14ページより目次