全1355文字

沖合に複数の大型風車を設置する「洋上風力発電」が日本でも本格化しそうだ。一般海域の利用ルールを定めた新法が11月30日に成立し、政府が参入を促す。事業リスクは軽減するが、法整備前から計画してきた事業者には一抹の不安もある。

新法成立で開発が加速する
●洋上風力発電の開発計画
注:黄色い風車は環境アセスメント中の一般海域での計画。白の風車は建設準備中も含む港湾内での計画

 11月30日、参議院本会議で「海洋再生可能エネルギー発電利用促進法」が成立した。洋上風力発電での一般海域の利用ルールを整備し、来春をめどに施行される。国が5カ所の海域を「促進区域」に指定。最長30年間にわたり、海域を発電用に占有できるようになる。

 大型風車を海上に複数設置する洋上風力発電は、発電効率がよく、欧州では再生エネの主力と位置づけられている。騒音問題が少なく大型化しやすいうえ、陸上と比べて強い風が安定的に吹くからだ。水深の浅い海が広がり北海油田の掘削技術を転用できた欧州では、2000年ごろから普及。既に日本のすべての風力発電の4倍以上に当たる1600万kW(キロワット)の発電所が稼働している。

 一方、日本では沖合の利用ルールが曖昧で、洋上で大型風車を設置できる場所は都道府県が管理する港湾内に限られていた。ルールのない沖合は「突然海が使えなくなるリスクがぬぐえず、資金調達ができなかった」(関係者)。この懸念が新法により解消する。

 四方を海に囲まれた日本の洋上風力のポテンシャルは高い。県条例などを活用し複数の電力事業者などが数年前から準備を進めてきた。環境アセスメントや地元の漁業者との交渉など既に投資が始まっている計画も、港湾内を入れれば全国で10カ所以上ある。

日経ビジネス2018年12月10日号 14ページより目次