国内シェアビジネスの主役は誰

 当面のトヨタの狙いは顧客サービス拡充にある。空き駐車場の情報を自社の通信サービスに乗せることで、他社との差別化を図ることが可能になる。さらに中長期的には、日本国内でのカーシェア事業強化を見据える。

 トヨタは今年5月、ライドシェア(相乗り)サービス大手の米ウーバーテクノロジーズと資本・業務提携を締結。10月には個人間カーシェアを手掛ける米ゲットアラウンドにも出資した。通信機能を備えた「つながるクルマ」を使ったシェア事業を強化する方針を掲げており、米国での提携・出資の動きはそれに沿ったものだ。

 クルマのシェアサービスは国や地域ごとに普及の状況が異なる。米国ではライドシェアや個人間カーシェアが主流になりつつある。欧州ではライドシェアへのタクシー業界の反発が強いこともあり、独ダイムラーや独BMWなど自動車メーカーが提供するカーシェアビジネスが台頭している。

 一方で、日本でのシェアビジネスの主流は決まっていない。タクシー業界はライドシェアに反発しており、カーシェアには自動車メーカーやレンタカー事業者、不動産会社などが相次いで参入する群雄割拠の状態だ(下の表)。

レンタカーや駐車場シェアなどの事業者が参入
●主な企業の国内カーシェアリング事業への取り組み
レンタカーや駐車場シェアなどの事業者が参入<br /> <span>●主な企業の国内カーシェアリング事業への取り組み</span>
注:各社の親会社やグループ企業での展開を含む 出所:アーサー・D・リトル・ジャパンの資料を基に本誌作成
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 ある大手日系自動車メーカーの研究部門の幹部は「クルマを提供するだけなのか、サービス事業者になるのか。大手各社は悩んでおり、うちもずっと議論している」と語る。トヨタも全方位で目配りしており、タクシー会社への車両の提供からカーシェア事業者との共同実験までを進める。

 アキッパとの提携は今年夏までに決まっていた。ただ、トヨタが5月に発表したウーバーとの提携に「タクシー業界が嫌悪感を示した」(関係者)。異業種ベンチャーとの提携を相次いで発表すればさらなる反発を引き起こしかねないと考え、アキッパとの提携発表を控えていた。

 国内でのカーシェア市場では、パーク24が独走している。自前の駐車場の活用やデータ主導のサービス運営によって、一気に業界ナンバーワンに上り詰めた。会員数は70万人を突破し、2016年は売上高185億円を見込む。国内のカーシェア事業は駐車料金が最大のコスト要因になっている。駐車場のコストを転嫁できるパーク24や不動産会社などが優位に立つ。

 経営コンサルティング会社アーサー・D・リトル・ジャパン(ADLジャパン)の分析では、カーシェア事業の黒字化には最低20%の稼働率が必要で、人口密度5000人/km2以下では事業が成立しない可能性が高い。これは三大都市圏の人口密度に相当し、「既にカーシェアが普及済みで、駐車場が有償である限り、これ以上の拡大は難しい」(ADLジャパンの鈴木裕人氏)。

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