HDDは「カセットテープ」に

 活況は一時的なブームでは終わらない。スマホに次ぐ、新たな市場が台頭してきたからだ。データセンターでは現在、HDD(ハードディスク駆動装置)が記憶媒体の大半を占めるが、処理速度で勝るフラッシュメモリーで代替する動きが加速しているのだ。

フラッシュがHDDを置き換えていく
●世界の企業向けストレージ市場の推移予測
フラッシュがHDDを置き換えていく<br /> <span>●世界の企業向けストレージ市場の推移予測</span>
出所:テクノ・システム・リサーチ。金額ベース
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 「2016年に入り、高級品ではHDDとフラッシュメモリーの価格が逆転した。企業向けストレージではHDDを使わない“オールフラッシュ”が主流となりつつある。HDDは将来、カセットテープと同様の運命をたどるだろう」。ストレージ大手、EMCジャパンの小澤正敏SAS&SDSソリューション部部長は、記憶媒体の主役交代が近いと指摘する。

 現在約2兆円規模の企業向けストレージ市場は、今後順調に拡大すると見込まれている。テクノ・システム・リサーチによると、2018年以降は市場の過半をオールフラッシュ製品が占めるようになるという。

 決め手となるのが、従来方式と比べて容量を大幅に増やせる「3次元メモリー」だ。東芝は2016年から8600億円を投じて生産能力を増強する計画で、サムスンも積極的に増産投資を進めている。3次元への移行期にあることも、スマホに使われる「2次元メモリー」が足元で逼迫する要因になっている。

 中華スマホとデータセンター需要が、東芝にとって強い追い風になっているのは間違いない。だが、これを生かせるかどうかは不透明だ。

 メモリー市況は変動が激しく、「スマホ向けの需要は来年前半にピークを迎える」と、半導体業界に詳しいIHSテクノロジーの南川明・日本調査部ディレクターは予測する。価格下落の影響を軽減するには、データセンターにシフトする必要があるが、3次元メモリーの量産では「サムスンが東芝より1年先行している」(半導体技術者)。

 さらに、中国の半導体メーカーが3次元メモリーの開発を加速し、2018年頃には量産を始める見込みだ。大型液晶パネルでは、資金力で圧倒する中国勢が市場を支配した。「技術的な壁は高いが、フラッシュメモリーが液晶と同じ構図に陥る恐怖は常に感じている」。東芝との合弁会社でフラッシュメモリーを製造する、米ウエスタンデジタルの幹部は危機感をあらわにする。

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