ソフトバンクグループが米携帯子会社スプリントとTモバイルUSの合併交渉を断念した。統合後の新会社の主導権にこだわり、Tモバイルの親会社と折り合いがつかなかった。「米国は最重要の市場」と言うが、激化する米携帯市場で一人負けのスプリントを抱え込む狙いは何か。

<span class="fontBold">孫正義社長は米国市場の重要性を強調するが……</span>(写真=北山 宏一)
孫正義社長は米国市場の重要性を強調するが……(写真=北山 宏一)

 「短期的にはスプリントの株価は下がるかもしれないが、これをむしろチャンスと捉え、(同社株を)買い増すことにした」「確かにAT&Tなどははるかに大きな存在だが、その利益を少し頂くチャンスはあると考えている」

 常に大言壮語を吐いてきた男に似つかわしくない言葉が口をついて出てきた。11月6日、2017年4~9月期の決算会見に臨んだソフトバンクグループの孫正義社長。子会社で米携帯電話4位のスプリントと同3位で独ドイツテレコム傘下のTモバイルUSとの合併交渉を断念したことについて聞かれた質問に、失望を隠しきれなかった。

 13年にソフトバンクがスプリントを買収した当初から狙っていたTモバイルとの合併構想。成就すれば契約者数で米国シェア首位のベライゾン・コミュニケーションズと2位のAT&Tと肩を並べる第3極が生まれるはずだった。

 14年に合併を目指した際は、米当局の認可が得られる見通しが立たずに断念したが、企業寄りの政策を打ち出すトランプ政権となり、再び合併交渉に乗り出していた。

 ソフトバンクグループによるとドイツテレコムとの交渉では早期から、合併後の新会社の経営権をどうするかが争点だったという。交渉中止の理由について孫社長は「(新会社の)実質的な経営のコントロール権を失う形の合併はすべきではないと最終的に結論づけた」と説明したが、14年に合併を目指した時と環境は大きく変わっていた。

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