国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の開発が大詰めを迎えている三菱航空機に難題が降りかかった。カナダの小型旅客機メーカー、ボンバルディアが機密情報をMRJの開発に不正流用されたとして提訴したのだ。これに対し、三菱航空機や親会社の三菱重工業は「根拠がない」とコメント。強気の裏には理由があった。

<span class="fontBold">ボンバルディア(上)にとって、MRJ(下)の小型旅客機市場参入は経営リスクとなる</span>(写真=下:三菱航空機(株)提供)
ボンバルディア(上)にとって、MRJ(下)の小型旅客機市場参入は経営リスクとなる(写真=下:三菱航空機(株)提供)

 「またかという気持ち。ボンバルディアは行儀の悪い会社ですよ」

 カナダの小型旅客機メーカー、ボンバルディアが三菱航空機を米シアトルの連邦地裁に提訴した一件が明るみに出た直後、三菱重工業のある幹部は吐き捨てるようにこう語った。

 ボンバルディアは同社の小型旅客機「Cシリーズ(現欧州エアバスの『A220』)」の開発に携わった元社員が「MRJ」を開発する三菱航空機に不正に機密情報を流したと主張している。

 三菱航空機は「先方の主張には根拠がないものと認識」というコメントを発表。三菱重工も「三菱航空機を適切に支援する」意向を示したが、三菱重工関係者は「これだけ強気なコメントを出したのは、勝てる自信があるから」と指摘する。

 ボンバルディアがMRJを揺さぶる背景には苦しい台所事情がありそうだ。

 もともと100席以下の小型旅客機を得意としてきたボンバルディアにとって、100?150席のCシリーズの開発は社運をかけたプロジェクトだった。しかし、開発費が想定より膨らんだ上、競合するエアバスや米ボーイングの牙城を崩せなかった。2015年にはEBIT(利払い・税引き前利益)ベースで48億ドル(約5300億円)の赤字を計上。17年に黒字に転換したが、小型旅客機を手掛ける商用機部門は赤字のままだ。

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