新日鉄住金が欧州アルセロール・ミタルと進めるインド鉄鋼4位のエッサール・スチールの買収計画が前進した。鉄鋼業界で「最後の楽園」ともいわれるインドで現地生産拠点を構えて成長に弾みをつける構えだ。もっとも、新日鉄住金にとってBRICsは「鬼門」。軌道に乗らないブラジルやロシアの二の舞いを避けられるか。

<span class="fontBold">エッサールは冷延鋼板から厚板、鋼管まで幅広い鉄鋼製品を手掛ける</span>(写真=Bloomberg/Getty Images)
エッサールは冷延鋼板から厚板、鋼管まで幅広い鉄鋼製品を手掛ける(写真=Bloomberg/Getty Images)

 新日鉄住金が欧州アルセロール・ミタルと進めるインド鉄鋼4位エッサール・スチールの買収計画が前進した。10月26日までに、エッサールの債権者委員会がミタルを落札者に選んだ。エッサールは能力増強に向けて積極投資したものの、その後の鋼材価格の下落で収益が悪化。多額の負債を抱え、今年2月にインドの法律に基づき、売却先を選ぶ入札手続きに入っていた。

 入札の手続きを進める債権者委員会が過去の債務問題からミタルなどを「応札資格なし」とするなど、混乱が続いたが、ようやくミタルが落札者と認められた。今後、新日鉄住金はミタルと合弁会社を設立して正式に買収手続きに入るが、インドの他の買収案件を参考にすると、3~4カ月後には買収手続きが完了する可能性がある。

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