働き方改革、TPP承認案・関連法案の国会審議、そしてロシアとの北方領土交渉…。新潟県知事選を受け原子力発電所再稼働も不透明になり、安倍晋三政権は「正念場の秋」を迎えている。一連の課題のキーマンとなる世耕弘成・経済産業相が思いを語った。
(聞き手は 本誌編集長 飯田 展久)

世耕 弘成氏
問 10月16日投開票の新潟県知事選で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に慎重で、野党が支援した米山隆一氏が初当選しました。どのように受け止めていますか。
答 新潟県民が選択した結論であり、我々としては真摯に受け止めたいと思っています。個人的に深刻だと思ったのは、出口調査などを見ると、原発再稼働に反対する有権者が非常に多いこと。そして『反対』と答えた人のうちかなりの割合の人が米山さんに投票しています。この現実を重く受け止めないといけません。
新潟の方々が柏崎刈羽原発の再稼働について考える際のポイントは3つあるとみています。まずは原子力規制委員会が安全性を徹底的に厳しい新規制基準で審査していくことです。2つ目は避難計画をはじめ原子力災害が起きた際の対応です。3つ目が東電に対する思いです。柏崎刈羽原発を巡る過去の様々な出来事もあり、特に東電がきちんと改革されていくのかについて新潟県民は気にしていらっしゃいます。
1点目は規制委の仕事になります。2点目の災害対応に関しては、実はこれまで泉田裕彦前知事の意見をかなり取り入れてきました。泉田さんに関係閣僚会議にも出席いただき、彼の考え方を原子力防災にも反映させてきました。この点を新潟県民に伝える努力が少し足りなかったのかなと思っています。
東電については、10月5日に経済産業省に東電の経営改革などを議論する専門委員会を設置し、非連続の改革をやり遂げようという方向で議論をしている最中です。これについても、新潟の皆さんに知ってもらう努力が必要です。米山さんとはお互いの予定が合うタイミングでお会いし、こちらの考えや方針を含めお話しさせていただきたいし、お考えもしっかり伺いたいと考えています。
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