東芝社長や日本郵政社長などを歴任した西室泰三氏が81歳で死去した。数々の要職を通じて国や経済界へ貢献した一方で、東芝の不正会計問題の一因を作ったとの指摘もある。国内産業史に名を残す経営者の実像とは。日経ビジネスだけが知る、その素顔を紹介する。

西室氏が体調不良により日本郵政社長を突然退いたことで、同グループは求心力を失った(写真=的野 弘路)

 西室泰三氏の人生観、仕事観に大きな影響を与えたのは、若いころに経験した死の恐怖だ。西室氏が親しい人間に聞かせる、こんな逸話がある。

 1961年、西室氏は東京芝浦電気(現・東芝)に入社した頃から下肢の力が抜ける感覚に悩まされた。日本の病院で原因は分からなかったが、悪化する症状と「あと4~5年生きられるかどうか」という余命宣告だけが明確だった。