トヨタ自動車とスズキが業務提携に向けたテーブルに着いた。開発投資が一段と必要な時代に、スズキがトヨタに近付く意図は分かりやすい。一方でトヨタは。「仲間作り」というキーワードから、2つの危機感が浮かび上がる。

提携に向けた協議開始という段階での会見は極めて異例(写真=竹井 俊晴)

 これからゆっくり考えます──。

 トヨタ自動車の豊田章男社長とスズキの鈴木修会長は10月12日の記者会見でそろってこう口にした。発表した両社の業務提携の中身が、まだ白紙であることを端的に示していた。

 交渉を始めることだけを発表し、具体策は皆無。正式契約に向けた時期のめども示されない。異例の記者会見の会場はトヨタの東京本社で、ロゴ入りのボードさえ用意されていなかった。ダイハツ工業の子会社化やマツダとの提携の記者会見が都内ホテルで開かれたのとは対照的だ。

 秋波を送ったスズキの動機は明白だ。リーマンショック直後から「1000万台なければ生き残れなくなる」と漏らしていた鈴木会長。環境規制が厳しくなる中、今後のエコカーの主流はいまだ見えづらい。全方位で開発を続けるためには規模が必要になる。資本・業務提携していた独フォルクスワーゲン(VW)との係争が終結したスズキにとって、頼れる1000万台プレーヤーはトヨタしか残っていなかった。