サード・ポイント、新たなレター

 昨年にセブン&アイ株を取得した、米投資ファンドのサード・ポイントは今年7月にも、セブン&アイ側にレターを送付している。同ファンドは昨年秋以降、鈴木前会長の体制に改革を迫る一方、井阪氏のトップ昇格を支持したが、新体制にも引き続き厳しい要求を突き付けた。関係者によると、そごう・西武や、通販のニッセンにとどまらず、これまで具体的な言及がなかった会社についても事実上、グループから切り離しを求めたという。雑貨店フランフランを運営するバルスや、デニーズを展開するセブン&アイ・フードシステムズといった会社だ。

 発表された計画では、こうした会社のテコ入れには、ほとんど触れなかった。サード・ポイントが取得したときより株価は下落し、含み損を抱えているもようで、改革を強く求めてきそうだ。

 2つ目として、創業家の存在も壁になり得る。「この巨大グループの素晴らしさは、名誉会長がしつけのように植え付けてくださった企業理念です」。井阪氏は記者会見の説明の冒頭に、異例の「賛辞」を述べた。名誉会長とは創業者の伊藤雅俊氏。鈴木体制では、見られなかった光景だ。

 井阪氏の人事を巡る今春の騒動では、伊藤家は井阪氏の支持に回っており、新体制の大きな後ろ盾だ。それだけに、創業家の思い入れの強い事業に対して、改革が遅れかねない懸念がある。テコ入れが待ったなしのはずのイトーヨーカ堂だが、3月に発表した改革案と比べて、大きく踏み込んだ追加のリストラ案はなかった。複数のグループ関係者は「ヨーカ堂は伊藤家が立ち上げた祖業であり、配慮を感じる」と話す。

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