セブン&アイが発表した中期計画は、「そごう・西武」3店の競合への譲渡が目玉だった。百貨店やオムニチャネル戦略など、鈴木敏文・前会長の肝煎りの事業にメスを入れる。投資家、創業家、そして動揺する現場の社員をどう納得させるか。これら3つの高いハードルがある。

井阪社長は不振事業について「変化に応じて、必要な処置をとっていく」と強調(写真=尾関 裕士)

 セブン&アイ・ホールディングスは現在、傘下のそごう・西武が運営する「そごう神戸店」「そごう西神店」(いずれも神戸市)と「西武高槻店」(大阪府高槻市)について、阪急阪神百貨店などを展開するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)に承継する。

 H2Oとは資本業務提携契約も結ぶ。セブン&アイは57億円を投じてH2O株の3%を取得。H2Oも同じ額を投じてセブン&アイ株を取得する。業務提携は、H2O傘下の阪急阪神百貨店の買い物ポイントを、関西のセブンイレブンで使えるようにするなどの内容だ。ただ3店舗については、「譲渡額や時期は今後詰める」という異例の発表だった。

 セブン-イレブン・ジャパン社長だった井阪隆一氏は、自身が更迭される人事案を巡って、今春に鈴木敏文・前セブン&アイ会長(現名誉顧問)と対立した。鈴木氏の退任を受けて5月、セブン&アイ社長に昇格した井阪氏は、就任後100日で改革案をまとめると表明していた。目玉となるリストラ策を盛り込もうと、滑り込みでH2Oとの合意にこぎ着けた事情がうかがえる。

 鈴木体制では、一度も作ったことがない中期経営計画をまとめたことも前体制との決別を意味する。

 ドイツ証券の風早隆弘シニアアナリストは「株式市場へ誠意を見せる意味でも、短期間で店舗譲渡をまとめたのは一定の成果」と指摘する。だが全体に市場の反応は冷淡だった。発表翌日の7日、セブン&アイの株価は前日より5%下落。連休明けの11日も続落した。稼ぎ頭のセブン-イレブン・ジャパンの出店計画が下方修正されたことだけでなく、市場では不振事業のリストラが不十分との声も多い。投資家の要求が、新体制の1つ目の壁である。

井阪社長は百貨店にメスを入れた
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