規模拡大は長年の悲願
伊藤忠商事がファミマの筆頭株主になったのは1998年。伊藤忠出身の上田氏は2000年、顧問としてファミマに転籍する。入社後半年のうち本部に顔を見せたのは60日足らず。それ以外は、全国の加盟店や店舗指導員の元を駆け巡った。ここで痛感したのが首位セブンイレブンの強さだ。接客、商品力、品ぞろえ──。何を取ってもファミマと歴然とした差があった。
「業界3位では生き残れない」。上田社長は規模の必要性を感じ、強烈な危機感を抱く。トップ就任から5年がたった2007年、上田社長はユニー首脳に統合を持ちかけた。
だが「正直に言って、僕は『サークルKサンクスさん、一緒になろう』と話してきたのであって『ユニーさん、一緒になろう』とは話していないのです」(上田社長)。だが、当時からユニー首脳はスーパー事業とコンビニ事業は切り離すべきでないと考えていた。統合は実現しなかった。
それでも、規模の拡大が欠かせないという考えは変わらなかった。ファミマは2009年、エーエム・ピーエム・ジャパンを買収。約2年をかけ、全国約730店舗をファミリーマートに変えた。「1日の平均売上高(日販)が30万円だった店舗でも、ファミマになって一気に70万~80万円に増えた事例もあった」(上田社長)。この成功体験で上田社長が自信を深めたのは間違いない。
そんなさなか、ローソンがユニーに秋波を送り、経営トップ同士が会談する。こうなるとコンビニ事業に限った統合にこだわっている場合ではない。「スーパーで作った総菜をコンビニで売るなど、東海地方では相乗効果(シナジー)を生むこともできる」(上田社長)。スーパーを伴って統合した場合の事業計画も作成し、その結果「成長戦略を描ける確信が100%以上に高まった」。こうして2015年、ファミマはスーパーも含んだユニーグループ全体との経営統合を決めた。
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