サークルKサンクスとの合併で、業界2位になった新生ファミリーマートが始動した。今回の大型再編を9年にわたって主導してきたのが新持ち株会社の社長に就いた上田準二氏だ。就任して初めて応じた単独インタビューでは、自ら仕掛けた案件を成功させる執念がにじんだ。

<b>合併に合わせて、店舗のロゴデザインも変えた。新生ファミマとして再起動する</b>
合併に合わせて、店舗のロゴデザインも変えた。新生ファミマとして再起動する

 「数は力。有名な政治家もそう言っていたでしょう」

 統合への思い入れの強さが、この言葉にはっきりと表れていた。話し手は9月1日に発足した持ち株会社である、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)社長に就いた上田準二氏。ファミリーマート会長として今回の統合を主導した人物だ。「質を上げるには、まずは規模が必要なのです」。新生ファミマ始動翌日の9月2日、日経ビジネスのインタビューに応じた。

(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)

 上田社長の念頭にある政治家とは言うまでもなく、元首相・田中角栄のことだろう。この言葉は一般的に、金権政治の象徴として語られる。それでもあえてこの言葉を使うところに、上田社長の規模拡大への執念が透けて見える。

 「コンビニはシステム産業です。店舗数が多いほど、その地域では商品を積んだトラックの配送時間や距離を短くできる。規模があって初めて、お客が欲しい商品を、欲しいと思ったとき、欲しい数だけ棚に並べられるのです」

 商品力でも同じことが言える。「おいしいラーメンを開発したいとします。麺にもっちり感やつるつる感が欲しいと食品メーカーに頼むと、必ず『で、1日にどれだけ発注してくれるのですか』と聞き返される。食品メーカーも一定の投資をして、生産設備を導入する必要があるからです。規模が小さいままでは『そんな数では(採算が)合いません』と突き返されてしまいます」。

●ユニー・ファミマHDの上田準二社長の略歴
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