政府・日銀が政策協調のアピールに腐心している。円高の進行などに結束して対応する姿勢を示すとともに、アベノミクスへの市場の期待をつなぎ留めるためだ。金融・財政政策のカードが限られるなか、焦点は政府の構造改革に対する「本気度」に移っている。

アベノミクスの苦境に緊密な連携を演出する日銀の黒田東彦総裁(左)と麻生太郎財務相(写真=AFP=時事)

 1ドル=99円台まで円高・ドル安が進んだ8月18日午後。財務省内で財務省と金融庁、日銀の幹部が会合を開いた。「投機的な動きがないかどうかは絶えず注視し、もしあれば必要な対応を取ると確認した」。財務省の浅川雅嗣財務官は会合終了後、記者団にこう強調してみせた。

 3者会合は約2週間ぶり。今年6月末の英国の欧州連合(EU)離脱ショック以降は市場の変動に対応して機動的に開催されている。英国の離脱決定直後には安倍晋三首相、麻生太郎財務相、日銀の黒田東彦総裁らによる緊急会合も開催。日本単独での円売り介入もちらつかせながら、市場の投機的な動きへのけん制を強めている。

 米国の早期利上げ観測の後退などから円高圧力が強まっているが、米大統領選を控え米側からの批判を招きかねない介入に踏み切るのは容易ではない。財務省幹部は「政府と日銀の強い姿勢を示してしのぐしかない」と漏らす。

 こうした市場の変動に対する「守り」に加え、政府・日銀が注力しているのが政策協調の演出だ。日銀は7月末の金融政策決定会合でETF(上場投資信託)の買い入れ額を年6兆円に倍増する追加の金融緩和を決定。直後の会見で黒田氏が政府の事業規模28兆円の経済対策との相乗効果を強調し、菅義偉官房長官は「日銀と緊密に連携しながらあらゆる政策を総動員して一体で取り組む」と応じた。さらに、8月2日の経済対策決定後には麻生氏と黒田氏が会談。アベノミクスの再加速に一体で取り組む姿勢を強調してみせた。