空売りを仕掛けながら、扇情的な表現で特定企業の株を売りあおるリポートを発行。「空売りファンド」が日本企業をターゲットにし始めた。新手の投資家に対して、日本企業はどのように対応すればよいのか。
「事実誤認の多さや、下品な表現を見て非常に驚いた。当社のビジネスモデルも全く理解されていない」。サイバーダインの山海嘉之CEO(最高経営責任者)は、困惑を隠しきれない。
「世界で最も途方もなく低価な株券」。8月15日、日本の有望ベンチャー企業の一つとされるサイバーダインに突然、こんなリポートが突きつけられた。
発行したのは米国に拠点を置くシトロン・リサーチ。証券会社などから株を借りて売却し、値下がり後に買い戻して利益を得る「空売りファンド」だ。リポートの内容は、競合企業と比較して株価の割高感を指摘するもの。中には同社株を排泄物になぞらえるなど、あまりに品位に欠ける表現も含まれる。
だが、市場は敏感に反応した。翌16日のサイバーダインの株価は、一時前日比225円安の1852円まで売り込まれた。19日にはサイバーダインが「事業特性を理解せず、分析が非常に浅い」など詳細な反論書面を公開したが、株価の反発力は鈍い。6月にサイバーダイン株の空売りを表明していた香港に拠点を置くファンド、オアシス・マネジメント創業者のセス・フィッシャー氏は、「サイバーダインの反論には新しい情報がほとんどない」と冷ややかだ。
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