自衛隊が事務次官級の給与で情報セキュリティー専門家の採用に乗り出す。高待遇でトップレベルの人材を確保するほか、現場でセキュリティー業務を担う予備自衛官の育成も始めた。トップから現場レベルまでサイバー防衛力の向上を図り、「ハイブリッド戦争」に備える。

(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 自衛隊がサイバー防衛力の強化に向けて、民間人のリクルートを加速している。防衛省の大野敬太郎政務官は本誌の取材で「来年度にも日本で5本の指に入る情報セキュリティー専門家を事務次官級の待遇で迎え入れたい」と明言した。年収2300万円程度でトップレベルの人材を確保するという。サイバー攻撃と物理的な武力攻撃を組み合わせた「ハイブリッド戦争」への対応能力を高める狙いだ。

 自衛隊など世界の防衛当局が注視しているのがロシアとウクライナの間の紛争だ。2014年にロシアがクリミア半島などに軍事侵攻したのを機に、ウクライナでは停電が起きるなどサイバー攻撃で社会が何度も混乱に陥っている。

 ウクライナ国家警察幹部は「ロシアの仕業である可能性が高い」という。武力攻撃とサイバー攻撃をセットにした21世紀型の紛争に備えるには、戦車や戦艦を運用する部隊に加えて、サイバー戦の能力を持つ部隊が必要だ。

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