T&Dが3年ぶりの逆ざやに

 増益を保ったT&Dホールディングスだが、保険契約者に約束した利回り(予定利率)に運用利回りが届かない逆ざやに約3年ぶりに陥った。傘下の太陽生命保険が24億円、T&Dフィナンシャル生命保険が7億円、連結でも1億円の逆ざやとなった。

 開示はしていないものの、朝日生命なども逆ざやになったとみられる。他の大手は、順ざやこそ保ったが、第一生命は運用が予定を上回る幅を前年同期の5分の1に縮小するなど、利息・配当収入を大幅に減らしている。

 T&Dは「2016年4~9月期では再び順ざやに戻る」としているものの、緩やかな円高傾向が続くとの見方は多く、国債の利回りが劇的に上昇するような状況にはない。生保各社にはさらに強い逆風が吹き付けそうだ。

 逆ざやは生保経営にとっては大きな痛手となる。生保は予定利率を基に契約者に対する保険料を計算し、お金を集めている。このため、逆ざやになると、想定している収益(保険料+運用益)が不足することになり、その分を自社で埋めなければならなくなるからだ。

 生保は一般的に契約期間が数十年と長く、1980年代後半からのバブル期に予定利率の高い保険(5.5~6%程度)を販売した。ところが、バブル崩壊後の株価低迷で運用は急速に悪化。長い間、逆ざやに苦しむこととなった。

 これらの処理が一巡したのが2014年3月期ごろで、以後、生保経営もようやく安定を取り戻したかに見えた。当時、大手生保は、順ざやの構造をほぼ取り戻したとして、軒並み保険契約者への配当増を実施したほどだ。今回の“逆ざや危機”は、それ以来、久しぶりに襲ってきた悪夢である。

 だが、生保にはさらなる難題が降りかかっている。事業会社の売上高にほぼ相当する保険料等収入も全体として減少傾向にある。マイナス金利の影響で、銀行窓口を中心に売ってきた貯蓄性の高い「一時払い終身保険」などの利回りを下げたり、販売を停止したりしたことが主な原因だ。

 例えば、今年4~6月期に明治安田生命は銀行窓販だけで1352億円と前年同期比39.2%減、日生も826億円で同26%減となるなど、大きな影響を受けた。貯蓄性商品の窓販は、ここ数年の好調分野だっただけに、業績への影響は無視できない。

 そして、もう一つの誤算が、昨年から大手が競うように進めた海外保険会社のM&A(合併・買収)による利益貢献が、円高で小さくなることだ。