生命保険会社の運用が円高とマイナス金利で極めて厳しい環境に立たされている。一部生保は契約者に約束した利回りに運用が届かない逆ざやに陥った。円高は昨年相次いだ海外生保の買収効果をも弱め、生保を苦しめている。

 生命保険各社が円高とマイナス金利の直撃を受けている。

 2016年4~6月期決算は主要8社中6社の基礎利益(事業会社の営業利益に相当)が前年同期比で減少した。首位の日本生命保険は1.5%減で、第一生命保険、住友生命保険、明治安田生命保険、富国生命保険、朝日生命保険はいずれも2桁減益となった。

 業績悪化の要因の一つが足元で進行する円高だ。日銀が2013年春、大胆な量的・質的緩和に踏み切り、金利が急低下したころから、生保は運用の多様化を本格化した。「日本国債中心のポートフォリオの一部を、金利の高い外国債券や、原油のパイプライン施設で運用する海外のインフラファンドなど成長分野投資に移し始めた」(モルガン・スタンレーMUFG証券の伴英康アナリスト)。

 その後の円安局面では、利回りの高さに加えて為替の換算益が利益を押し上げ、運用見直しは大きな成果を収めた。だが、それも今年初めからの急激な円高で一気に暗転。例えば、第一生命の昨年6月末の想定為替レートは1ドル=122円だったが、今年6月末は同103円となった。20円近い大幅な円高が、「欧米の優良格付け社債や米国債など、海外投資が生む利回りの一部を吹き飛ばした」(第一生命)。

 マイナス金利導入で、国債の運用収益はさらに悪化した。株価も今年に入って低迷したことで、株式や債券から得られる単体の利息・配当金収入はソニー生命保険を除く、主要7社で前年実績を割り込んだ。

生保の巨額買収は円安局面で決まった
●ドル円レートの推移と各社の買収発表・完了時期
(写真=左:Rodrigo Reyes Marin/アフロ、右2点:ロイター/アフロ)