もともとオプジーボに関して、小野薬品は医療関係者向けに「十分な知識・経験を持つ医師が適切に判断して投与してほしい」と呼びかけていた。また、使用可能な施設や医師の要件も独自に定め、満たせないところにはオプジーボの流通を制限する措置も取っている。

 だが、海外から個人で輸入して適応症以外のがん患者に投与する医療関係者もいる。オプジーボは現在、胃や食道、肝臓などでも治験が進められ、腎臓は年内に承認される見込みだ。画期的新薬として注目を集めるだけに、わらにもすがる思いで適応外使用ができる自由診療のクリニックに頼る患者も少なくない。そうした自由診療の場では、適正使用を無視した投与が行われ、副作用に対応しきれず国立がん研究センターなどに緊急搬送されてくるケースも確認されている。

 事態を重く受け止めた厚生労働省は、近く対策に乗り出す。高額な新薬は患者への効き目を高める一方で、価格を適正水準に抑えるようにする。そのために3つの方策の導入を考えている。

「骨太の方針」にも盛り込む

薬剤費の膨張に歯止め
●厚生労働省が検討する高額医薬品の規制

 まず、価格の適正化。薬の効果を見定めて価格に反映させる仕組みを取り入れる。割高と判断された場合は次の薬価改定で引き下げる。既に今年度から2年かけての試行事業が始まっており、2018年度からの適用を見込む。

 また、高額医薬品について適応が拡大された場合、2年に1度の薬価改定を待たずに価格を引き下げること(期中改定)も検討する。

 さらに、高額な薬剤が適正に使用されるように、病院や医師向けのガイドライン(指針)も作成する。病院に一定の経験がある専門医を置き、緊急対応ができることなどを要件とする方向だ。

 これまで学会が自主的に作成したガイドラインはあったものの、国が医薬品の適正使用に関する指針を作るのは今回が初めてのこと。もともと今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2016」には、医療費適正化の施策の一環として「革新的医薬品等の使用の最適化推進」が盛り込まれており、厚労省の動きはこれに対応したものだ。

 対象はオプジーボのほか、今年4月に販売開始となった高コレステロール血症治療薬の「レパーサ」(アステラス製薬)も該当する見込み。膨張する一途の医療費の抑制を大きな目的の一つとしている以上、使用規制がかかる方向に進むのは間違いない。指針から外れた使い方をした場合、公的保険を適用できない仕組みとすることなどが検討されている。

 夢の新薬がごく一握りの人にしか使えなくなる日が近く、やってくるかもしれない。