15年連続で米国における乗用車の販売台数1位を獲得し続けてきた中型セダン「カムリ」。トヨタ流の部品共通化(TNGA)をこのサイズで初めて適用するが、焦点はその次の車種だ。ライバルの独フォルクスワーゲンの部品共通化に対して、トヨタならではの強みを発揮できるのか。

<b>TNGAを導入した米国で主力の新型「カムリ」</b>(写真=Bloomberg/Getty Images)
TNGAを導入した米国で主力の新型「カムリ」(写真=Bloomberg/Getty Images)

 トヨタ自動車の部品共通化の手法である「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」が、真価を問われるタイミングを迎えている。試金石となるのが10日に発売した中型セダン「カムリ」だ。

 カムリは米国で人気が高い。2016年には米国だけで、カムリのグローバル販売の6割弱に当たる38万9000台を販売した。中型車カンパニー・プレジデントの吉田守孝専務役員は「新型でも米国で月3万台は売りたい」と鼻息が荒い。

 ところが、近年の米国市場ではSUV(多目的スポーツ車)に人気がシフトし、セダンの売れ行きが悪い。「カムリが計画通りに売れればいいが、そうでない場合は戦略を見直す必要が出てくるだろう」と独コンサルティング会社、ローランド・ベルガーの貝瀬斉パートナーは指摘する。

 というのも部品の共通化では、開発期間の短縮とコスト低減という大きな2つのメリットが期待できる。ところが判断を誤ると、逆に開発期間が延びたりコストがかさんだりする。

 共通化のためには、どの車種とどの車種を共通のプラットフォーム(車台)にするか、また全体のうちどのくらいの部品を共通にするかなどの重要事項をTNGAの設計当初に決めておかなければならない。このため最初に発売する車種はいいが、次の車種を発売するタイミングで市場のニーズが変化していた場合、対応するのが難しくなる場合があるのだ。

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