次はイタリアか──。英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた6月23日の国民投票以降、イタリアの銀行株が大幅に下落している。同国の銀行株指数は、国民投票後から約1週間で約30%下落。年初からの下げ幅は57%に達した。7月6日の東京株式市場は、これと英国の不動産ファンド解約停止に市場の関心が集まり、日経平均の下げ幅は一時500円を超えた。

 直接の理由は、イタリアの金融機関が抱える不良債権の多さだ。同国の金融機関の不良債権比率は昨年9月末時点で16.9%と、EU平均の5.9%を大幅に上回る。なかでも問題視されている国内3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナは昨年末時点で42%に達する。

 イタリアの銀行の不良債権問題は今に始まった話ではない。セーフティーネットも整備されている。ユーロ危機の教訓から、EUはユーロ圏加盟国が出資する共同基金ESM(欧州安定メカニズム)を設立しており、金融不安が他国に波及しない仕組みを整備している。

 にもかかわらず、金融市場がイタリアの銀行の不良債権問題に反応したのは、英国のEU離脱以来、EUの結束力に対する疑問が膨らんでいるからだ。

 ユーロ危機以降、遅々として進まない構造改革に対し、欧州委員会や欧州中央銀行(ECB)はイタリア政府に不良債権処理を急ぐように圧力をかけ続けている。マッテオ・レンツィ首相は今年4月に銀行救済基金などを設立、対応にあたっているが、こうした圧力は国内世論の反発を招きかねない。金融機関への公的資金注入が実施されれば政治が混乱に陥る可能性がある。

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