有能な正社員の確保が厳しくなる中、派遣市場で高時給の求人が急増している。外国語やIT、法務などの専門知識を持つ派遣人材に、組織のリーダーを任せる企業も目立つ。派遣をきっかけに正社員に登用したいという切実な思いもある。

高時給派遣でさらに報酬がアップ
●三大都市圏(関東・東海・関西)の職種別派遣平均時給(2018年4月)
高時給派遣でさらに報酬がアップ<br /><span>●三大都市圏(関東・東海・関西)の職種別派遣平均時給(2018年4月)</span>
注:エン・ジャパンのデータより職種を抜粋

 「正社員の採用が難しくなっている。社内でも責任のあるポジションの人材を派遣労働で採用した」

 企業のIT(情報技術)サポートを手掛ける、ニスコム(東京・渋谷)の串田実副社長はこう話す。これまで派遣人材は社内の事務作業など比較的責任の軽い業務で採用してきた。しかし今年3月に採用したウェブディレクターは部署内でもリーダー的なポジションだ。同時期に経理部署の人材も初めて派遣で採用した。どちらも高度なスキルが必要な業務で、時給は3000円を超える。

 人材サービス大手のエン・ジャパンによると、4月の三大都市圏(関東・東海・関西)の職種別派遣時給で上記のようなウェブディレクターは平均でも1952円と前年同月に比べ5.1%上昇している。同社の求人情報サイト「エン派遣」に掲載された時給2600円以上の高額求人の案件は、5月末までの半年間で1.8倍に急増した。「IT人材のほか、英語など語学スキルがあり、かつ法務や金融の知識を持っている人材のニーズが高まっている」(エン派遣の事業責任者、沼山祥史氏)

 高時給求人がけん引することで、専門性の高い派遣業務の平均時給が上昇。ウェブディレクターやファッションデザイナーといった「クリエーティブ系」や、CAD(コンピューターによる設計)オペレーターなど技術系職種の平均時給は過去最高水準となっている。

 こうした派遣人材に対して引き合いが強まっている背景には、多様な働き方を促す「働き方改革」の流れの中で、効率的に人材を確保したいという企業の狙いもある。

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