男子バスケ界に経営の優等生がいる。5月末に終えた前季2位の市民球団、千葉ジェッツふなばし。7年前には破綻寸前の弱小チームだったが、2012年に球団社長に就いたプロ経営者が徹底改革。安定した資金力を誇るトヨタ自動車が後ろ盾の「スター集団」を脅かす存在になっている。

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日本一を決める天皇杯は連覇した(右が島田氏)

 「またしてもかなわなかったか」。5月26日、横浜アリーナ。男子プロバスケットボール「Bリーグ」のチャンピオンシップ決勝で「アルバルク東京」に60-85で完敗した「千葉ジェッツ」の島田慎二社長は残念そうにつぶやいた。

 島田社長にとって、アルバルク東京は「スター集団」だ。母体はトヨタ自動車バスケ部。独立したチームとして参戦しているが、今も大口スポンサーがトヨタであることには変わりない。

 一方の千葉ジェッツは少し前まで支援者もまばらな弱小チームだった。2010~11年シーズンの売上高は約7000万円で損益は約1億5000万円の赤字。そんな市民球団がスター集団と肩を並べられるようになった裏には、島田社長の経営改革がある。

 バスケットボール未経験の島田氏は1995年から2010年の間に旅行会社など3つの会社を立ち上げた起業家だ。仕事でつながりがあった千葉ジェッツの会長から依頼を受けてチームに関わり、12年に社長に就いた。

 まず動いたのは資金集め。支援者の気持ちを動かすには掛け声が必要だと考え、「1兆円の利益を出す大企業をバスケで倒しませんか」と「打倒トヨタ」を掲げた。当時、所属していた地域密着を掲げるbjリーグから、トヨタが所属する企業チーム主体のNBLにくら替え。「面白いじゃないか」と千葉県内の中小企業などから200万~300万円単位で資金を集め、スポンサー収入は1年で1億円を超えるようになる。

 15年のオフシーズンに、米国のNBAで選手契約した富樫勇樹選手を「かなりの好条件」(島田社長)で獲得。さらに「負けてもまた来たいと思わせる仕掛けをしなくては」と観客が感情移入できるチーム作りに力を注いだ。攻めでも守りでもがむしゃらに動き、どんな時も手を抜かない選手をそろえた。

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