パナソニックが車載を中心とする電池事業の売上高を2倍に高める目標を発表した。だが2017年の車載電池世界シェアでは、創業間もない中国CATLに首位の座を奪われた。新興勢力に勝つためには、日米欧大手との連携強化や資源確保など、戦略的な一手が必要だ。

 「野心的な目標だが、本当に実現できるのか……」。複数の電池業界関係者が、パナソニックがぶち上げた増産計画に疑いの目を向けている。

 パナソニックは5月30日、車載を含めた電池事業の売上高を2022年3月期に18年3月期の2倍以上に引き上げる計画を明らかにした。単純計算で1兆1250億円以上。売上高営業利益率も5%以上と、18年3月期の2%から大幅に改善させる考えだ。

(写真=時事)
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(写真=Bloomberg/Getty Images)
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 原動力は、世界中の自動車大手が急ピッチで進めるEV(電気自動車)シフト。富士経済の予測では、21年の車載用リチウムイオン電池市場は約2兆円と、16年の2.5倍に拡大する見通しだ。この領域に経営資源を集中させるのが、パナソニックの基本戦略である。

 設備投資の中身から、その意気込みがうかがえる。車載部門では19年3月期に2410億円の設備投資を計画するが、その大半を車載電池に振り向ける。米テスラと共同で進めるギガファクトリー(米ネバダ州)、18年3月に稼働した中国の大連工場(遼寧省)、20年3月期の稼働を目指す姫路工場(兵庫県姫路市)での設備投資を進める。

 だが、やみくもに増産するわけではない。顧客として狙いを定めるのは、テスラやトヨタ自動車を筆頭とする日米欧の大手12社。車載部門トップの伊藤好生副社長は「我々の電池の優位性やリスクを共有できるトップランナー顧客との関係を進化させる」と力を込める。顧客の生産計画や需要に応じて、段階的に能力を拡張していくという。

 需要を見極めながら着実に投資を進めるパナソニック。“横綱相撲”の風格すら漂う同社に、関係者が厳しい視線を投げかけるのはなぜか。理由は大きく3つある。

 1つ目は、くすぶり続ける「テスラリスク」だ。テスラは昨年夏、普及価格帯のEV「モデル3」を投入したが、生産トラブルが続発。電池を供給するパナソニックも業績面で影響を受けた。量産計画はいまだに軌道に乗っておらず、関係者の多くは「今期以降もテスラに振り回されるのではないか」との懸念を隠さない。

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