トランプ米政権が自動車の輸入関税引き上げの検討に入った。最大25%の追加関税を課す案も浮上している。一方、中国政府は7月から自動車の輸入関税を引き下げる。乗用車では25%から15%になる。覇権争いを繰り広げる2大大国による貿易政策の転換。もたらすのは「ドイツ優勢、日本劣勢」という構図だ。

<span class="fontBold">米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席で方針が逆に</span>(写真=トランプ氏:Kyodo News/Getty Images)
米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席で方針が逆に(写真=トランプ氏:Kyodo News/Getty Images)

 「米トランプ政権の自動車関税引き上げが実現したら……うちはマズいことになるでしょうね。トランプさんのことだから、いつ心変わりするかも分からないけれど」

 トランプ米大統領が安全保障を理由に自動車輸入関税引き上げの検討を発表した数日後、SUBARU(スバル)関係者は心配顔でこう話した。2018年3月期に同社が米国で販売した67万台のうち約35万台(出荷ベース)が日本からの輸出品。米メディアによれば、乗用車で現行2.5%の輸入関税に最大25%の追加関税を課す案も浮上している。実現すれば影響は甚大だ。

 気が気でないのは他の日本メーカーも同じ。米国は日本の自動車メーカーにとっての最大市場だ。一方で、もう一つの大きな市場である中国でも輸入制限に変化が見られた。こちらは7月1日から輸入乗用車の関税を25%から15%に引き下げるという内容だ。

実現すれば日本劣勢の構図に
●日独米から米中への年間輸出台数(2017年、米国のみ16年)
実現すれば日本劣勢の構図に<br /><span>●日独米から米中への年間輸出台数(2017年、米国のみ16年)</span>
出所: 日本は日本自動車工業会、ドイツはVerband der Automobilindustrie、米国は「Ward's Motor Vehicle Facts & Figures 2017」のデータを基に編集部で作成(写真=背景:Justin Sullivan/Getty Images)
[画像のクリックで拡大表示]

 米中で逆転する輸入関税──。仮に米国の関税引き上げが実現した場合、世界の自動車産業にどのような影響が及ぶのか。

次ページ 最も「得」をするのはBMW