相次ぐ高齢者の運転ミスによる死亡事故を受け、ダイハツ工業は認知症予防の講習を始めた。高齢者の運転を抑制する動きが強まる一方、ダイハツは「運転は認知症の対策にもなる」と考える。法改正で認知機能が衰えた高齢者の運転免許取り消しが強化される中、顧客の維持に力を入れる。

<b>静岡県のダイハツ販売店が開催する認知症の予防講習</b>
静岡県のダイハツ販売店が開催する認知症の予防講習

 「1・2・3」「4・5・6」「7・8・9」。4月下旬、静岡ダイハツ販売の掛川店(静岡県掛川市)。60~90代の22人が、数字を数えながら左右の手を交互に前に突き出す。3の倍数で手を上に挙げるルールだが、思うようにいかずに苦笑する参加者も多い。講師役の理学療法士は「うまくできなくても大丈夫。毎日続けて脳に刺激を与えることが大事です」と声をかける。

 ダイハツ工業は4月から静岡、広島、三重の3県で、認知症の無料予防講座を開設。今後、全国に広げていく。

 日本理学療法士協会と連携し、運転能力を維持するプログラムを考案。キーワードは「並列処理」だ。運転時は後方や歩行者の確認やウィンカーを出すなど、同時に複数の動作をこなさなければならない。冒頭の運動のほかにも、両手をたたきながら引き算をするといったトレーニングをこなす。

 ダイハツの三井正則社長は「自動運転の議論を進める前に、高齢者の事故対策に取り組むべきだ」と話す。

 警察庁によると、75歳以上が起こした死亡事故は2015年に458件と高止まりしており、全体の12.8%を占める。75歳以上のドライバーが過去10年間で倍増していることが背景にある。

 今年3月には改正道路交通法が施行。免許更新時の検査で「認知症のおそれ」があるとされた高齢者には、医師の診察が義務づけられるようになった。認知症と診断されれば、免許は取り消しか停止になる。

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