大阪市西成区の北端にあるあいりん地区。日雇い労働者向けの簡易宿所が集まる下町だ。今年3月、そのあいりん地区と駅を挟んで近接する広大な敷地を星野リゾートが落札した。高級旅館「星のや」など、従来のリゾートホテルとは全く異なるホテルを2022年に開業する。

<b>星野リゾートのホテル建設予定地</b>(写真=菅野 勝男)
星野リゾートのホテル建設予定地(写真=菅野 勝男)
<b>星野佳路代表は「大阪観光に絶好のロケーションだ」と話す</b>(写真=菅野 勝男)
星野佳路代表は「大阪観光に絶好のロケーションだ」と話す(写真=菅野 勝男)

 4月24日、星野リゾートは2022年春に大阪市でホテルを開業する計画を発表した。都市型観光ホテルで全608室、宿泊料は1泊2万円前後の見通しだ。

 「先入観なく見れば、潜在力は非常に高い。課題がある場所だからこそ思い切った開発ができる」

 星野佳路代表がこう話す建設予定地はJR新今宮駅前の北側にある。大阪市が売りに出した土地で、広さは約1万4000平方メートル。星野リゾートは約18億円で落札した。

 星野代表が言う「先入観」とは周辺環境に対する大阪市民のイメージだ。この地区は大阪の下町で、新今宮駅の南側には日雇い労働者向けの簡易宿所が集まるあいりん地区(西成区)がある。治安に対する評判が悪く、かつては路上でのトラブルも頻発していた場所だ。

 一方、星野リゾートは高級旅館「星のや」や温泉旅館「界(かい)」を全国のリゾート地で運営する。地元住民が「なぜ、ここに星野リゾートが来るのか」といぶかるのも無理はない。

 大阪市もこの地区の再開発には苦慮している。ホテルの建設予定地も1983年に取得して以来、用途が定まらず資材置き場などの暫定的な利用にとどまっていた。6年前からは更地のままで「夜、薄暗く物騒だ。なんとかしてほしい」と近所からの苦情も受けた。

 この地区の用地売却で失敗した苦い記憶もある。新今宮駅前にあった遊園地「フェスティバルゲート」の跡地開発で、当初は幅広い客層が見込めるテーマパークの開設を目指したが、紆余曲折を経て売却先の事業者が建てたのはパチンコ店を核とする施設だった。

次ページ 入札に客室の条件も