北朝鮮の核実験中止宣言、米英仏によるシリア攻撃、予測不能のトランプ大統領……。先行きが見通せない世界情勢は、企業活動にとっての最大のリスクだ。混迷の震源地である米国、北朝鮮、欧州、シリアについて専門家が解説する。

(写真=トランプ氏・金氏:UPI/amanaimages、メルケル氏・プーチン氏:ZUMA Press/amanaimages、習氏:Sipa USA/amanaimages)
(写真=トランプ氏・金氏:UPI/amanaimages、メルケル氏・プーチン氏:ZUMA Press/amanaimages、習氏:Sipa USA/amanaimages)
1分で分かる世界情勢
●主要国・地域の焦点
1分で分かる世界情勢<br /><span>●主要国・地域の焦点</span>
注:三井物産戦略研究所、インタビューした識者らへの取材を基に本誌作成
(写真=米国・欧州:ZUMA Press/amanaimages、シリア:UPI/amanaimages、北朝鮮:Polaris/amanaimages)
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米国 トランプ大統領の自国優先主義の政策は変わらず。年内は好調な経済が続く見通し。中間選挙に向けて国内有権者に対して成果をアピールし続ける必要があり、中国との貿易や、北朝鮮外交、中東への軍事的関与について突発的な政策変更を実施する可能性もある。
英国 2019年3月の英国の欧州連合(EU)離脱まで1年を切ったが、新たな貿易協定など交渉は難航しており楽観できず。メイ政権の支持率は低迷し、労働党のコービン党首の人気が高まっている。ただし、仮に解散総選挙があり政権が交代しても、EU離脱の方針を変更する可能性は低い。
欧州 EU統合をけん引してきたドイツで右派政党が野党第一党に躍進。メルケル首相は国内政治に力を注がざるを得ず、EUの統合プロセスは当面停滞する。難民受け入れに反対する東欧諸国、財政規律重視の政策に今も不満をためる南欧諸国など、EUの「南北問題」「東西問題」は解消しておらず、ポピュリズム政党を勢いづかせている。
ロシア 3月の大統領選に勝利したプーチン大統領は2024年までの任期を手にした。ウクライナのクリミア半島でもシリアでも一歩も引く気配はない。ただし、制裁の影響もあり経済は低迷。米大統領選への介入や英国での元情報機関員の暗殺未遂などで欧米との対立は深刻。「新冷戦」を懸念する声も。
中東 4月に米英仏がシリアを空爆。5月半ばに米国がイラン核合意の今後について結論を出す。親米国のトルコやサウジアラビアがロシアに接近。イランとイスラエルの対立はより深まり、さらなる不安定化は避けられない。
中国 消費と輸出が堅調なうちに国内経済の債務問題を解決できるかが焦点。3月の全国人民代表大会で副首相に選出された経済学者の劉鶴氏の手腕に注目。米国の経済制裁強化に大人の対応を見せているが、大幅な対抗措置に出て貿易戦争に発展する可能性もある。
北朝鮮 金正恩委員長は核実験廃止宣言に続いて、4月27日の南北首脳会談で融和ムードをアピール。だが、6月上旬予定の米朝首脳会談で、トランプ大統領が求める核廃棄に合意する可能性は低い。

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