燃費不正問題を起こして再び経営危機に直面し、日産自動車の傘下に入った三菱自動車。日産は同社の中枢で活躍してきた人材を経営幹部として送り込み、改革を加速している。反発や失望の声も出る中、経営陣がプロパー社員の信頼を得られるかどうかが成否のカギを握る。

「結局、あの時と同じなんですよ」
4月中旬、三菱自動車のある社員は、ため息交じりにこう打ち明けた。
軽自動車4車種に端を発する一連の燃費不正が発覚したのは昨年4月20日。その翌月12日、日産自動車が三菱自の発行済み株式の34%を取得して傘下に収めることを発表した。
「あの時」とは2000~05年、三菱自が独ダイムラークライスラー(現ダイムラー)の支配下にあった時代を指す。00年にリコール隠しが発覚した後、ダイムラーは三菱自と資本提携すると、すぐに新経営陣を送り込んだ。だが現場の社員との溝は埋まらず、04年に2度目のリコール隠しが発覚。その翌年、ダイムラーは三菱自から資本を引き揚げた。その危機を救ったのが三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の三菱グループ3社だった。
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