民事再生手続き中のタカタの事業売却が完了した。売却先として有力視された欧米勢の撤退で、タカタは経産省が最も嫌がった中国資本の傘下に入る。主力事業のエアバッグの受注回復は見込みにくく、新生タカタの前途も多難だ。

<span class="fontBold">2017年6月に民事再生法の適用申請を発表したタカタの高田重久会長兼社長(左写真の一番手前)。右はタカタの滋賀県内の工場</span>(写真=左:共同通信)
2017年6月に民事再生法の適用申請を発表したタカタの高田重久会長兼社長(左写真の一番手前)。右はタカタの滋賀県内の工場(写真=左:共同通信)

 「タカタの案件は終わったんじゃなかったのか?」。昨年末から年明けにかけ、国内外の複数の投資ファンド関係者はドイツ証券の突然の打診に戸惑った。ドイツ証券が持ち込んできたのは「(民事再生手続き中の)タカタを買収するKSSに出資してくれないか。急な話で申し訳ないが、2月までに300億円出してほしい」という話だった。

 自動車用安全部品を取り扱う米キー・セイフティー・システムズ(KSS)が、タカタと事業譲渡で基本合意したのは昨年6月。M&A(合併・買収)の世界ではもう「終わった案件」のはずだった。誤算はKSS陣営にいた米投資ファンド、ベインキャピタルの撤退だ。

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