北朝鮮の金正恩委員長が事前発表なく北京を訪れ、中国の習近平国家主席と会談した。中国にとっては、対中強硬路線を貫くトランプ米大統領をけん制する狙いもある。日本政府には警戒感も広がるが安倍首相は強気。得意の外交で存在感を示したい考えだ。

<span class="fontBold">電撃訪中し、中国の習近平国家主席(右)との会談で関係改善をアピールする北朝鮮の金正恩委員長</span>(写真=共同通信)
電撃訪中し、中国の習近平国家主席(右)との会談で関係改善をアピールする北朝鮮の金正恩委員長(写真=共同通信)

 中国は対米国の切り札を手にしたのだろうか──。

 朝鮮半島情勢が目まぐるしく動いている。3月29日、韓国の統一省は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の首脳会談を4月27日に開くと発表した。これに先立つ3月25~28日、金委員長が中国を非公式訪問し、習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した。

 事前発表なしの訪中は電撃的だった。中朝首脳が会談するのは約7年ぶり。習氏が国家主席に就いてから、中朝関係は冷え込んでいた。金委員長はナンバー2で親中派の張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑したほか、中国で開催する国際会議に合わせミサイルを発射するなど、中国のメンツをつぶすような行動を繰り返してきた。

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