事実上のトップ、李在鎔(イ・ジェヨン)氏が逮捕され、経営危機に揺れるサムスン電子。だが、株式市場では上場来高値を更新し、投資家からは将来性を高く評価されている。好調な半導体に加え、独自のAI(人工知能)をスマホ、家電に搭載して、攻勢に出る。

<b>音声認識の独自AIは次期スマホから搭載していく</b>
音声認識の独自AIは次期スマホから搭載していく

 経営危機に揺れる韓国サムスン電子の株価が上場来高値を更新している。

 グループの事実上のトップで創業家出身の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は贈賄容疑で2月17日に逮捕され、検察の厳しい取り調べを受けている。当然、強大な権力を持つトップの不在がサムスンの経営にマイナス影響を与えることが懸念されていた。

 しかしふたを開けてみると、そんな不安はどこ吹く風で株価は上昇。3月21日、サムスン電子の株価は前日の終値から約1.6%上昇し、212万8000ウォン(約21万円)で取引を終えた。3月13日以降の株価は終値ベースで5営業日連続で最高値を更新。その後は伸び悩むものの、3月27日の終値でも高値圏にある。

 一番のけん引役は好調な半導体事業だ。主力のNAND型フラッシュメモリーで、サムスンの世界シェアは2016年10~12月期に約37%とトップ。2位の東芝(約18%)と比べても2倍以上の大差をつけている。

 フラッシュメモリーはパソコン、タブレットに加えて、スマートフォンなどで採用が拡大し、高値が続く。大容量化や高速化などの技術力でサムスンは競合相手に対して優位に立つ。財務も健全で投資余力も大きい。

 ライバルの東芝は、不正会計問題で追い詰められ、原子力発電関連で多額の損失を計上。資金調達のために、フラッシュメモリー事業を「東芝メモリ」として分社化し、株式上場を前提に売却しようとしている。買い手がどうなるか次第で、今後の投資には不透明感が漂う。

 さらにサムスンが3月20日に発表した音声認識を使う独自のAI(人工知能)アシスタント、「Bixby(ビクスビー)」も注目を浴びている。米アップルの「Siri」のような技術だ。サムスンはSiriを開発したチームが創業した米ベンチャー、Viv Labsを16年秋に買収し、AI開発に取り組んできた。

 ビクスビーはサムスンが3月29日に発表した次期スマホ「Galaxy S8」から搭載される予定。「将来的には、対応アプリの大半で、指で画面をタッチして実行する操作のほとんどを音声で制御できるようにする」(サムスン)。同様の技術は他メーカーのスマホがまだ実現しておらず、差異化につながるとする。

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