トランプ米大統領が3月23日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限に向け、新たな関税を発動する。安全保障を盾にした、世界貿易機関(WTO)体制を揺るがす「トランプ砲」だが、日本の鉄鋼業界は冷静だ。貿易戦争になろうと、なるまいと、海外生産体制の確立を急ぐ覚悟が見て取れる。
「トランプ政権の動きには注目が必要だが、今まで通りの経営戦略を粛々と進めるだけです」。トランプ米大統領が3月8日に放った鉄鋼・アルミニウムに対する輸入制限措置に、国内の鉄鋼大手幹部は意外に冷静だ。「世間で騒がれているほどの影響はない」との読みが背景にある。
日本の対米輸出量は約190万トン(2017年)と、国内の鉄鋼生産量の約2%にすぎない。しかもモーターや発電機に使われる「電磁鋼板」など、米メーカーがあまり手掛けない高付加価値製品が多い。「関税を引き上げられても、打撃を受けるのは米国内のユーザー」(業界関係者)とみている。
もちろん、「中国発の鉄鋼製品が、米国から締め出されて、世界の市況を悪化させないか注意を払う必要がある」(日本鉄鋼連盟の会長を務める新日鉄住金の進藤孝生社長)のは間違いない。
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