政府・与党が働き方改革関連法案から裁量労働制の対象拡大部分を削除することを決めた。不適切な調査データへの批判が強まり、政権へのダメージを食い止めるため目玉政策の撤回に追い込まれた。裁量労働の対象拡大時期は見通せなくなり、経済界の求める「多様で柔軟な働き方」の実現にブレーキが掛かった。

目玉政策の撤回に追い込まれた安倍首相。強行突破より事態の収拾を重視した(写真=時事)

 「裁量労働制のデータについて国民が疑念を抱く結果になっている。働き方改革関連法案から裁量労働制を全面削除するよう指示した」

 2018年度予算案が衆院を通過した後の3月1日未明。安倍晋三首相は厳しい表情で記者団にこう語った。

 裁量労働制は実際に働いた時間ではなく、あらかじめ労使で決めた「みなし労働時間」を基に賃金を支払う制度。現在、研究開発職やシステムエンジニアなど「専門業務型」と、経営の企画・立案にあたる「企画業務型」が対象となっており、政府は企画型に一部の営業職などを追加する法改正を目指していた。

 少子高齢化の進行や働く人のニーズの多様化を踏まえ、様々な働き方を選びやすくし、生産性向上につなげるための環境整備は待ったなしの状況だ。その一環として政府は裁量労働制の対象拡大に加え、コンサルタントなど高度専門職を労働時間規制の対象から外す「脱時間給制度」の創設、残業時間を年720時間までに制限する長時間労働の是正、正規・非正規の待遇差を是正する「同一労働同一賃金」の実現を柱とする働き方改革関連法案を政権の目玉政策に設定。今通常国会での成立を目指していた。