不正の影響、日本で根強く
ゴルフ首位陥落の理由の一つは、2015年に発覚したVWの排ガス不正問題だ。グローバルで見れば、VWがこのスキャンダルで受けた販売面での影響はほとんどない。VWグループ全体の2016年の世界販売台数は1030万台で過去最高を更新。トヨタ自動車を逆転し、トップに躍り出た。
しかし、日本国内に限定すれば不正の影響がもろに出た格好だ。2016年のVWの国内登録台数は前年比13.8%減の4万7234台。主力車種ゴルフも10%以上台数を落とした。不正の温床となったディーゼル車を販売していないにもかかわらず、不正の影響が最も出た市場の一つとなった。

なぜか。VW日本法人のティル・シェア社長は「日本国内でのVW車の保有台数は65万~66万台。リピーターが多い市場で、(不正によって)シンパシー(共感)の裏返しが顕在化した。ショールームの来場者がかなり減った」と言う。信頼性を重視する日本の消費者の特徴が出たという見方だ。
VW日本法人は、昨年5月に「信頼回復キャンペーン」として実質的な値引きなどを実施したが、顧客を戻し切ることはできなかった。
新型車効果も薄れた。現行のゴルフが日本で発売されたのは2013年。欧州では2016年秋に新型ゴルフが発売されており、消費者の一部が買い控えに走ったとみられる。富士重工業の「インプレッサ」やマツダ「アクセラ」など、国内メーカーで強力な競合モデルが相次いだことも低迷の一因だろう。
一方のミニは、BMW傘下の新ブランドとして再出発した2001年以降、「とがった」クルマから「普段使い」できるクルマへと進化してきた。代名詞とも言える3ドアの「ミニ・クーパー」の印象が強いが、5ドアやSUV(多目的スポーツ車)などの派生車種を次々に投入。2000年代半ばからの約10年で、ミニの世界販売台数は倍増した。
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