政府が4月8日に任期満了となる日銀の黒田東彦総裁を再任する人事案を固めた。副総裁に「リフレ派」の若田部昌澄・早稲田大学教授を充て、現状の金融緩和の継続をアピールした。人事案の裏には、株価維持や財政拡大による景気下支えを重視する安倍晋三首相の狙いが透ける。

<span class="fontBold">安倍晋三首相(写真中央)は、黒田東彦日銀総裁(右)の続投と若田部昌澄氏(左)の副総裁起用でアベノミクスの路線継続をアピールする </span>(写真=左:共同通信、中央:日刊現代/アフロ、右:AP/アフロ)
安倍晋三首相(写真中央)は、黒田東彦日銀総裁(右)の続投と若田部昌澄氏(左)の副総裁起用でアベノミクスの路線継続をアピールする (写真=左:共同通信、中央:日刊現代/アフロ、右:AP/アフロ)

 「アベノミクスが変わらないということを世の中に示すのが大事だよね」

 昨年末の時点で日銀の新体制について周囲にこう漏らしていた安倍晋三首相。2012年末の第2次政権発足以降、大規模な金融緩和をアベノミクスの柱に位置づけてきたことを踏まえ、市場では既に黒田氏続投は織り込み済みだった。金融市場の動揺を引き起こさないよう軌道修正と受け取られかねない事態は極力避けたいことから、安倍首相は黒田氏の再任を早々と固めていた。

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