高額なC型肝炎治療薬の偽造品が調剤薬局で見つかった事件の全容がほぼ解明された。直接の原因は、「現金問屋」と呼ばれる卸売業者が複数介在する複雑な流通ルートとされる。その背景には、調剤薬局チェーン全体を悩ませる収益低下の圧力があった。
C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品問題の全体像が見えてきた。
偽造品は、奈良県を中心に59店舗を展開する薬局チェーン、関西メディコの店舗で受け取った患者の通報で発覚した。製造元のギリアド・サイエンシズが関西メディコの店舗を調べ、偽造品5ボトルを発見。その後、厚生労働省が流通経路を追跡し、複数の問屋でさらに10ボトルが見つかった。
ハーボニーと差し替えられた中身は、サプリメント「ネイチャーメイド スーパーマルチビタミン&ミネラル」、漢方薬「小青竜湯」など。偽造品を問屋に持ち込んだ人物は特定されていないものの、大手卸を介さない非正規ルートの実態が明らかになった(上の図)。
見つかった偽造品には外箱や添付文書がなかったが、ボトルの外観は正規品と同じ。病院で廃棄されたボトルを流用した可能性が高い。ギリアドは3月上旬までにボトルの使用を中止し、新たな包装方式を前倒しで導入する。
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