日本、そして世界の半導体産業の発展に貢献した佐々木正氏が1月31日に死去した。102歳だった。ソフトバンクの孫正義氏や米アップルのスティーブ・ジョブズ氏も頼った“世紀のイノベーター”。戦争を生き延びた恩に報いようと、技術による人類の発展に最後まで挑み続けた。

<span class="fontBold">佐々木正氏は自由に発想が飛躍することから「ロケットササキ」とも呼ばれた。上の写真は2014年11月に編集部に託された自筆の「遺稿」</span>(写真=佐々木氏:菅野 勝男)
佐々木正氏は自由に発想が飛躍することから「ロケットササキ」とも呼ばれた。上の写真は2014年11月に編集部に託された自筆の「遺稿」(写真=佐々木氏:菅野 勝男)
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 電子技術が生み出すイノベーションを追求し続けた佐々木正氏は、99歳だった2014年11月、日経ビジネスの取材で「私の遺稿」と題した「遺言」を託した。そこには「地球生命を考え、地球を救う会」を作ることをお願いしたい、と記されていた。

 佐々木氏は早川電機工業(現シャープ)で世界初のオールトランジスタ電卓を開発した日本の「電子立国」の立役者だ。しかし、当初はLSI(大規模集積回路)を米企業と共同開発し、国策として半導体産業の育成を目指していた業界関係者からは国賊とも呼ばれた。

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