2月10日に予定されるトランプ米大統領と安倍首相の首脳会談で、自動車が焦点になることは避けられない。直接的な矛先は完成車メーカーに向きそうなものの、実際に「対価」を払うのは部品メーカーになりそうだ。「トランプ協力金」「部品の共用化」「現地調達率の引き上げ」の3つを課せられる可能性が浮上している。

<b>輸出するクルマに高い関税が課せられれば、その痛みは部品メーカーにも及ぶ</b>(写真=Bloomberg/Getty Images)
輸出するクルマに高い関税が課せられれば、その痛みは部品メーカーにも及ぶ(写真=Bloomberg/Getty Images)

 「完成車メーカーから『円高協力金』ならぬ『トランプ協力金』を求められる可能性がある」

 ある自動車部品メーカーの幹部は、こう言ってため息をつく。円高協力金とは、円高時に「完成車メーカーと部品メーカーが痛みを分け合う」(同)ことを指す。部品メーカーが生産性を高めたり、自社の利益の取り分を減らしたりして、完成車メーカーからのコスト削減要求に応じるのが“習わし”だ。

 トランプ米大統領は1月20日、TPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱を表明。今後、日米政府による2国間交渉が始まりそうだ。28日にトランプ大統領は安倍晋三首相と電話会談し、「日本の自動車業界も米国での雇用を生み出してほしい」と要望している。自動車分野が交渉の焦点になるのは必至だ。

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