東芝がようやく、原子力発電事業を「最注力領域」から外す決断を下した。2006年の大型買収以降、東芝は粉飾決算に手を染めてまで守り続けてきたが、原発事業にはいまだ2つの「不発弾」が潜んでいる。東芝の“崩壊”が始まった。

 海外での原子力発電所の新規受注は考え直す──。東芝の綱川智社長は1月27日、原子力を「エネルギー事業の最注力領域」から外すと表明した。米ウエスチングハウス(WH)を2006年に買収して以降、東芝は原子力を経営の根幹に据えてきたが、その戦略がついに行き詰まった。

 米原子力事業での損失が最大7000億円に拡大する見込みとなり、再発防止策の一つとして示した。国内は廃炉関連事業や再稼働に向けたメンテナンスに注力し、海外ではリスクの高い建設事業から撤退する方針だ。損失額の詳細などは2月14日、2016年4~2月期連結決算とともに発表する。

 綱川社長は社内カンパニーの傘下にある原子力事業を独立させて社長直轄にし、「WHのガバナンス強化を図る」と意気込んだ。だが原発事業に明るくない綱川社長が、即座にWHをコントロールできるとは考えにくい。

 今回の損失の原因は、WHが買収した米建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)が、コストの見積もりを誤ったことだ。安全規制が強まったことで工事が長期化しており、米国の原発建設にかかる人件費などでコスト超過が判明したという。