4年連続のベースアップ、同一労働同一賃金、働き方改革。今年の春季労使交渉は、日本経済の枠組みそのものに直結するテーマがそろい踏みだ。株式市場が「トランプ相場」に沸く裏で、日本経済は重要な分岐点を迎えている。

 ベア(ベースアップ)は柱──。

 2017年の春季労使交渉で経団連が経営側の指針として1月17日に決めた経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)の表現に驚きが広がっている。

 米トランプ政権の誕生を前に足元では「トランプラリー」と呼ばれる円安・株高相場が進行しているが、今後どこまで続くかは不透明だ。常に逆回転するリスクが付きまとう中で、経団連はベアについて、固定費増加の懸念があるため「選択肢の一つ」としてきた。

 会員企業に「年収ベースの賃上げ」を求める中でベアを「柱」という表現に格上げしたのは、「2016年並みの水準の賃上げ」「4年連続のベア実施」という安倍晋三政権の要求に一定の配慮を示したものと言える。

 今年も春季労使交渉の焦点の一つはベアだ。中でもトヨタ自動車の動向が注目を集める。

政府が賃上げを働きかける構図は変わらず
●政府、経団連、連合の主張
(写真=ロイター/アフロ)
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(写真=読売新聞/アフロ)
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