コマツが試作し、2017年1月に防衛省に納入した新型装甲車で防弾性能の不足という不具合が発覚した。抜本的な改修を迫られ、防衛省の調達計画には大幅な遅れが生じる見通しだ。日本を取り巻く安全保障環境が悪化する中での失態。国内防衛産業疲弊の「映し絵」にも見える。

<span class="fontBold">PKOや島しょ防衛への活用を名目に開発がスタートした。定員11人</span>(写真=防衛装備庁提供)
PKOや島しょ防衛への活用を名目に開発がスタートした。定員11人(写真=防衛装備庁提供)

 「防衛装備品の開発に苦労はつきものだが、今回の件には驚いた」。防衛産業の関係者がそう話すのは、防衛省が2017年末に発表した新型装甲車の試作品での不具合だ。コマツは17年1月に試作品を防衛省に納入したが、その後の射撃試験などで期待された防弾性能が備わっていないことが発覚した。

 新型は現行の「96式装輪装甲車」の後継機種で、PKO(国連平和維持活動)での車列警護などを念頭に、ゲリラによる銃撃や爆発物への備えを現行型より大幅に強化することを狙っていた。その装甲車で露呈したまさかの「装甲不足」。品質にばらつきのある汎用品レベルの防弾板の使用や、板厚の不足が原因としており、18年度中を予定していた新型の開発完了時期は3年以上遅れる見通しだ。

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