東芝が米国の原発事業で、再び数千億円規模の損失を計上する見通しだ 米ウエスチングハウスの減損を回避するために買収した企業が、新たな火種となった。原子力部門の隠蔽体質が改めて浮き彫りになり、上場廃止が現実味を帯びてきた。
東芝は1月10日、複数の金融機関を集めた説明会を開催し、融資継続を要請した。
直接のきっかけは昨年12月27日、原子力発電事業で数千億円規模の減損損失を計上する可能性を発表したこと。米原発子会社ウエスチングハウス(WH)が買収した企業の資産価値が、想定より下回ったのが原因だ。
東芝の株主資本は2016年9月末時点で3632億円。損失額によっては最終赤字や債務超過が視野に入り、格付投資情報センター(R&I)などが相次ぎ東芝を格下げした。2016年3月期の有価証券報告書によると、東芝向け融資の一部には「財務制限条項」が付けられており、利益や格付けが一定水準を下回ると金融機関から即時返済を求められかねない。資金ショートを未然に防ぐため、銀行への根回しを始めた。
だが支援の前提となる具体的な損失額は、1月に入っても判然としない。WHのダニー・ロデリック会長らが「米国で数字を精査している」(広報)ためだ。2016年度第3四半期決算を発表する2月半ばまでに、計上すべき金額を確定するとしている。東芝幹部からは「綱川智社長ら経営トップが事態をコントロールしきれていない」との声が上がる。
問題となったのは、建設工事などを手掛ける米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)。米エンジニアリング会社のシカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)から、WHが2015年末に買収した。買収後にS&Wの経営状況を見直したところ、建設プロジェクトなどでコスト超過が判明。結果、S&Wの資産価値が想定より下がり、多額の損失計上が必要だと判断した。
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