基礎科学分野における日本の存在感の低下を懸念する声が強まっている。研究費は横ばいで、学術論文数も減少傾向。日本発の革新的な技術や製品も多いとはいえない。現状を打破するために今年、何をすべきか。2人の日本人ノーベル賞受賞者が警鐘を鳴らす。
組織化された混沌を作り出せ
江崎玲於奈氏

問 近年、日本の科学技術力の低下を指摘する声が増えています。
答 科学技術振興が日本の屋台骨だという観念が乏しくなったのだと思います。戦後復興期には先端技術をかなり重視していました。その中でソニーといったベンチャー企業が勢いづき、日本の産業を牽引してきました。
科学が抱える様々な問題は日本の高齢化と切り離せません。人間の知性には、知識を得て、それを理解する『分別力』と、新しいアイデアを生む『創造力』があります。科学の進歩にはもちろん両方必要ですが、特に重要なのは創造力。これは若い人に備わっているもので、年を取るにつれて失われていく。だから高齢化が進むと、総和として創造性は薄れていくわけです。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り3765文字 / 全文文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?