人類の悪夢であったナチス・ドイツ。多くの戦争犯罪人が法の裁きを受けたが、逃げおおせた高官も多かった。中でも有名なのが、アウシュビッツ収容所で40万人のユダヤ人を死に追いやったナチスの医師、「死の天使」ヨーゼフ・メンゲレだ。『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』は、メンゲレの逃亡生活の全貌を描いた「小説」である。おそらく、ノンフィクションでは描ききれなかったであろうディテール(神はディテールに宿る)や人間心理のあやは、小説という形で初めて可能になったのだ。人間は、誰しも心に闇を抱えており、卑小な側面を持っている。しかし、人間をトータルに理解するためには、そうしたダークサイドから目を背けてはならない。人間を相手にするビジネスであれば、なおさらであろう。

『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』
オリヴィエ・ゲーズ著
1800円(東京創元社)
アウシュビッツ収容所でユダヤ人40万人を死に追いやった医師ヨーゼフ・メンゲレ。彼の半生と人間に迫った小説。
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