社員50人以上の企業に、ストレスチェックの実施が義務化されるなど、職場のストレス管理が重視されている。ストレスの感じ方は、本人の資質や置かれた状況によっても異なる。産業医として多くの企業で健康管理に当たる米沢宏氏に注意したいポイントを聞いた。

Adviser
精神科専門医・指導医
米沢 宏氏 (よねざわ・ひろし)
筑波大学医学専門学群、同大学院修了。認定産業医、認定臨床心理士。ジャパンEAPシステムズ取締役、顧問医。

 2015年12月にストレスチェック制度の運用が始まってほぼ2年になります。実施者は産業医や保健師など企業で働く人の健康管理にかかわる専門家で、個々人のチェック結果が直接会社に伝わるわけではありません。

 しかし結果を分析すれば、組織のストレスの負荷が分かり、組織上の課題解決のヒントが発見できます。産業医の立場から言えば、高ストレスの社員の面接を通して、これまでは産業医に相談に来なかった早期の不適応段階の人が把握でき、上手に運用すれば、休職者を減らせる可能性もあります。

ストレス耐性は個人差が大きい

(写真=Blue Jean Images/amanaimages)
(写真=Blue Jean Images/amanaimages)

 職場で、誰がどれだけストレスを感じているかは、分かりづらいものです。というのもストレスへの耐性は個人によって大きく違うからです。極端な例を挙げると、第2次大戦下にアウシュビッツの収容所に入った経験を持つ人を戦後に調査したところ、7割はPTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病など重い精神障害を抱えていたが、3割は健康に暮らしていた、という結果があります。つまり同じ経験をしても、個人によって受け取り方や影響は異なるのです。

 では、ストレスに強い人は何が違うのでしょうか。それを左右するポイントは3つの感覚と考えられます。

  • ①自分の置かれている状況を理解する把握可能感
  • ②自分には課題を解決することができると思える処理可能感
  • ③いま行っていることには意味があると感じられる有意味感

次ページ 上司の接し方が重要