米国の魂を買った」とまで言われたソニーのコロンビア・ピクチャーズ買収や三菱地所のロックフェラーセンター買収など、経済大国日本がハデな話題を振りまいていたバブル経済最後の頃(宴が終わりかけた1990~91年)、評者は米国南部の大学町とワシントンDCで暮らしました。日本語を勉強したい、日本文化について学びたい──「日本問題」が深刻化する一方で、未知の文化に対する関心の高さは今では想像できないほどでした。ただ、そうした時に「はい、これ」と差し出せる「同時代的」な日本の小説(川端康成、谷崎潤一郎、三島由紀夫のビッグスリー以外の英訳本)がないのはいかにも残念なことでした。