アフガニスタン、バーミヤンの大石仏。貴重な文化遺産を、2001年、当時のタリバン政権が無残に爆破したことは世界中を悲しませた。石仏は崖の穴に彫られていたが、穴の天井にも華麗な壁画が描かれていた。

タリバンが破壊したバーミヤンの東大仏の頭上の天井壁画「天翔る太陽神」。すでに劣化が進んでいたが、永遠に失われた
データに基づいて復元した“クローン”。太陽神を天使や仏が囲み、異なる宗教が共存していたことがうかがえる

 東京藝術大学大学院美術研究科の宮廻正明教授は研究員らとともに、昨年、失われた天井壁画「天翔る太陽神」の“クローン”を日本で制作した。破壊された時点で劣化が進んでおり、剥がれ落ちていた部分も多かったが、研究資料などを基に、より本来の絵柄に近づけた。絵の具も分析し、描かれた当時と同じものを使用。6m×7mというほぼ原寸の大きさ、形状も元のドーム型に復元し、一般に公開した。

クローン制作の現場

 宮廻教授のチームは、ほかにも門外不出で知られる奈良・法隆寺の釈迦三尊像や一般公開が制限されている中国・敦煌の莫高窟の壁画や仏像、さらにドイツが中国・新疆から持ち帰り、第2次大戦で消失した壁画など、シルクロードを彩る文化財の復元に取り組む。その成果を、“クローン文化財”として9月下旬から同大美術館で開く展示会「素心伝心」で一般公開する(展示会はその後、全国数カ所で開催予定)。