一般に「B.C.1200年のカタストロフィー」という歴史上の大事件がある。気候変動により、地中海周辺で「海の民」と呼ばれる人々の大規模な移動が起こって、ヒッタイト、ミュケナイ、ウガリトなどの大国が滅び、エジプト新王国も衰退して、権力の空白が生じた。
この事件の後、大木が倒れた跡に森に若芽が萌え出すようにフェニキア人やアラム人、ヘブライ人などが小国を建て、またヒッタイトが秘匿してきた鉄器の技術が広く拡散して、人類は鉄器時代を迎えたといわれている。『B.C.1177』は、最新の考古学の知見を総動員して、この大事件の真相に迫った意欲作である。

『B.C.1177』
エリック・H・クライン著
2400円(筑摩書房)
ヒッタイトなど、一時代を築いた文明世界は根こそぎ“海の民”に滅ぼされたとされてきた。この大事件に挑んだ意欲作。
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