一般に「B.C.1200年のカタストロフィー」という歴史上の大事件がある。気候変動により、地中海周辺で「海の民」と呼ばれる人々の大規模な移動が起こって、ヒッタイト、ミュケナイ、ウガリトなどの大国が滅び、エジプト新王国も衰退して、権力の空白が生じた。

 この事件の後、大木が倒れた跡に森に若芽が萌え出すようにフェニキア人やアラム人、ヘブライ人などが小国を建て、またヒッタイトが秘匿してきた鉄器の技術が広く拡散して、人類は鉄器時代を迎えたといわれている。『B.C.1177』は、最新の考古学の知見を総動員して、この大事件の真相に迫った意欲作である。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1153文字 / 全文文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「CULTURE」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。